「駒草」個人の感想です。あてにしないように。

リヴァイアサンのセカイ


 レビュー

この作品は”グロ有り”バトルもののノベルです。
能力を持った吸血鬼と人間の闘いが主になっています。

知っている方が書いたものだということで買ってみたのですが、
あまり小説を読まない私でもすんなりと読むことができました。

メリハリのある進め方で、遠回しな表現も少なく読みやすかったと思います。

日常生活を描く時はとにかく明るく、ギャグを交えながらキャラが活き活きと動きます。
逆に戦闘シーンの時は、真剣に残酷に。次々と死傷者が出ます。まさに殺し合いです。

では内容。まず導入ですが、いい入り方だと思いました。
世界観の説明はもちろん、この物語がどういう趣向で描かれるのか、雰囲気を掴むことができます。
掴みは大事ですね。
開始数ページで、覚悟あるいは引き返すタイミングを提供してくれますw

次にキャラ。
個性的で、ギャップを持った人物が多いです。
どこかで見たことある…と言えばそうですが、それがインパクトと味に繋がっていて、
短い作品の中でもしっかりとキャラクターの印象を読者に残してくれます。
そしてキャラクターの二面性をしっかり描かれているので、人間らしさがあって良いです。
表面上の行動と思っていることの相違。腹の底で抱えている本心。これらを丁寧に描写していることで
キャラへの愛着が持てます。

ただその分、後々の悲劇で受けるダメージは大きくなるんでしょうねw
それが惨劇がテーマの作品の、醍醐味でもありますが。

この上げて落とす手法が、ウマいなぁということを一番強く感じました。

次にグロシーンの描写ですね。
読者を殺す気かwってくらい、グロイです。(それでもまだ控えめらしいが)
私はそういうのが苦手な部類な人間なので、読むときは休み休み読まないとやってられないくらいでした。

挿絵はかわいくて、この上げて落とす手法にとても合っていると思うのですが
グロの点で言うと、絵では特にグロイ描写が描かれていなかったのが難点かと。私には救いでもありましたがね。
毒を食らわば皿まで。そういうのを期待する人も大勢いるはずです。

そして、それだけグロイ文章を読んで青ざめているこちらをしり目に、登場人物たちは
案外ケロッとしているんですよね。よく正気でいられるなと思います。私が恐がりすぎなんでしょうか。

次にギャグ。
ギャグに使われるのはだいたいネットでよく見かけるネタです。
ニコニコで見るガチムチ系など。
旬ですが、私個人としては狙いすぎかなと……。
空気を和ませて、暗く残酷な内容を和らげる機能は十分果たしていたと思います。

難しい戦略や武器の仕組みなどは、馬鹿な私でも無理なく読み進められるくらい
親切に解説があって良かったです。

私が思ったところはこんなところ。
改めて見てみると、やはりプロの技術だなと感心します。

私自身も、物語の創作というのは趣味でやっていますが、レベルの高さがうかがえます。
自分も、このくらいのものが描けたらな。そう思いますね。

ただのレビューではなく、今後の私の創作の参考にもさせていただくつもりです。


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